公営企業とは
公営企業とは地方公共団体が経営する企業をいいます。多くの地方公共団体が上・下水道、病院、交通、ガス、電気といった公営企業を経営しています。一般行政事務に要する経費が租税によって賄われるのに対し、公営企業の経営に要する経費は料金収入によって賄われるところが大きな違いであり、料金収入による独立採算制を原則としています。 公営企業には独立採算でありながら、住民に対する安定的なサービスの提供が求められます。そのために公営企業の経営には経済性、効率性が求められており、それを可能とする法律が地方公営企業法です。地方公営企業法を適用する公営企業には、公営企業会計による会計処理が求められます。公営企業は料金収入による独立採算を原則としており、料金収入で賄うサービスのコストを適切に算定するための会計です。適切なコスト計算が出来なければ、適切なコストカットも設備投資もできません。公営企業では会計的なガバナンスが非常に重要です。
公営企業会計の特徴
官公庁会計が単式簿記、現金主義であるのに対して、公営企業会計は複式簿記、発生主義であるとされます。適切なコスト計算を可能とするため、基本的には民間企業会計と同様の考え方による会計基準ですが、公営企業が地方公共団体の一事業であることから、予算の重視、一般会計からの繰入の会計処理、固定資産の財源管理、補てん財源の考え方など、多くの点で民間企業会計にはない特徴があります。
適正な財務諸表
適切な水準の料金は適切な財務諸表を前提としています。しかしながら公営企業会計は官庁会計とも民間企業会計とも異なる、多くの複雑な論点をもつ会計であり、間違いのない財務諸表を作成するのは困難です。その間違いは単年度では少額であっても年度が経過するにつれて累積し、巨額の過年度修正が必要となる事にもなりかねません。 公営企業の財務諸表をチェックする場合、貸借対照表を優先的にチェックします。貸借対照表には過年度のミスが累積するためです。もしも巨額の過年度修正が行われれば、料金についての議論が出来なくなります。ミスは巨額になる前に早めに発見し、修正するのが肝要です。